※2023年3月20日を以て水際対策(自主防疫)は撤廃されました。
2段階に分けて行われる台湾入国の水際対策緩和において予定通り9月29日に第1段階の緩和を実施。第2段階の緩和は早ければ10月13日より実施とされていましたが、9月29日に正式に10月13日より実施との発表が行われました。
前回の記事で、10月13日より行われる第2段階の緩和について観光目的での渡航が現実的なのかどうかを考えてみましたが、最新の情報をもとに改めて具体的な緩和内容やリスクについて考察したいと思います。
今後の状況次第で緩和内容はまた変更される可能性もあり、また詳細な内容が改めて発表されることも考えられます。本記事は現時点での発表内容をもとに推測も含めて記載していますので、その点をご理解のうえ参考にしていただければと思います。
※本記事は2023年1月31日現在の情報をもとに記載しています。
※2022年12月8日更新
※2022年12月15日更新
※2023年1月31日更新
目次
10月13日以降の水際対策について
9月29日に台湾の衛生福利部疾病管制署は第2段階の水際対策の緩和を予定通り10月13日より実施すると発表。10月13日以降、以下のように水際対策を緩和するとしています。
画像は衛生福利部疾病管制署 公式HPより引用
1.週毎の入国者総数
原則として入国者每週15万人の上限を試行。
2.自主防疫日数
入国日を第0日目として7日間(第1日目~第7日目)の自主防疫を実施。
(1)在宅検疫は撤廃。
(2)航空機搭乗手続き前の入国検疫システム(入境檢疫系統:Quarantine System for Entry)の申請は不要とする。また、台湾国内で有効な携帯電話番号の保有も不要とする。
(3)入国者への「入境健康聲明暨居家檢疫通知書(入境健康声明及び在宅検疫通知書)」の発行は取り止め。
(4)在宅検疫における観察システム、電子監督処置、健康観察及び地方政府のサポート業務などは取り止め。
(5)自主防疫期間に尊守するルール
①原則として1人1室(独立したトイレ・浴室付き)の条件を満たす個室を有する自宅、親族・友人宅、或いはホテルで自主防疫を実施する。
②重症化リスクの高い者(65歲以上、6歲以下、免疫不全及び免疫力が低下している者など)との接触は避ける。
③症状がある場合は安静にし、無症状且つ外出前2日以内の家庭用簡易抗原検査キットによる陰性結果を以て外出、出勤、通学が可能。
④食事をする場合、レストラン内では1人、或いは特定の対象者と食事をすることができる。席を離れる場合、及び食事終了後はすぐにマスクを着用する。外出時に飲食する場合は一時的にマスクを着用しなくてもよいが飲食後はすぐにマスクを着用する。
⑤病院への付き添い、面会は禁止。緊急でない診療や検査は延期する。またケア施設(高齢者施設など)への訪問は避ける。
⑥軽症の陽性者は防疫ホテル/集中検疫所、或いは自主防疫場所(一般のホテルは不可)で療養が可能。
3.家庭用簡易抗原検査キットによる検査
(1)入国時に空港職員より2歳以上の旅客に対して4回分の家庭用簡易抗原検査キットが提供される。
(2)検査のタイミング
①入国当日、或いは自主防疫第1日目。
②自主防疫期間中に外出するとき。外出前2日以内の検査が陰性であることが求められる。
③自主防疫期間中に症状がある場合。
④検査結果の報告は不要、陽性の場合は自主防疫のガイドラインに従う。
⑤家庭用簡易抗原検査キットの適用対象年齢を考慮して2歲未満は自主防疫期間中の検査は不要。
・2023年2月7日より入国時に配布される家庭用簡易抗原検査キットは4回分から1回分に変更。
・2023年2月7日より検査のタイミングは症状が有る場合のみに変更。
※2023年1月31日更新
4.交通について
(1)入国前14日以内に感染の症状の疑いがある場合は入国の際にCDC(疾病管制署)のスタッフに報告する。スタッフの評価に従い空港での唾液PCR検査、及び防疫タクシーの優先搭乗を実施。
(2)無症状の入国者は公共交通機関の利用が可能。
5.対象国に対して90日以内の短期滞在ビザ免除措置を再開。対象外の国については「一般性社会訪問」及び「観光」のビザを再開。また団体旅行も可能とする。
また、空港での入国手続きもかなり簡素化され通常の状態に戻していくようです。
画像は衛生福利部疾病管制署 FBより引用
これを見ると、これまで到着後に行われていたSIMカードの購入、隔離期間中の注意事項説明、各種書類の提示といった手続きが撤廃されるようです。
新型コロナ関連の手続きでは、症状のある入国者に対して検査を行う「疾管署發燒篩檢站(スクリーニングステーション)」と家庭用簡易抗原検査キットの配布を行う「快篩發放區」くらいでしょうか。
緩和によって大きく変わる点
入国検疫システムの申請は不要
現在、航空機搭乗手続き前に「入国検疫システム(入境檢疫系統:Quarantine System for Entry)」の申請を求められていましたが、緩和後はこの手続きが不要となります。
在宅検疫の撤廃
台湾では入国日を0日目として入国翌日から検疫1日目としてカウントします。
現在、3日間の「在宅検疫」+4日間の「自主防疫」が定められています。「在宅検疫」期間は外出不可であり、いわゆる「隔離」期間に該当します。「自主防疫」期間は外出前2日以内の家庭用簡易抗原検査キットによる陰性結果を以て防疫規範に従って外出することが可能です。
緩和後は「在宅検疫」を撤廃して「自主防疫」期間を7日間とする、とされています。実質的に隔離期間がなくなると考えられます。
自主防疫のルール変更
自主防疫におけるルールの変更点の中で注目すべきなのは以下の2点。
- 自主防疫の場所として一般ホテルが可。
- 「必要な場合以外は外出しない」の条件は削除。
現在は「自主防疫」の場所において一般ホテルは認められていないので観光目的の渡航は現実的ではありませんが、緩和後は一般ホテルでの自主防疫が可能となります。
また、現在は自主防疫期間中の外出において「必要な場合以外は外出しない」とされているので観光目的での外出は不可。しかし緩和後はこの条件が削除されています。
電話連絡や健康観察は廃止
現在は在宅検疫期間に地方政府の担当者からの電話連絡があったり、健康観察を行ったりしていますが「在宅検疫」が撤廃されることによりこれらのサポートは廃止されます。
これに伴い滞在期間中に「台湾の携帯電話番号を保有する」という義務も撤廃されます。
検査結果の報告は不要
入国当日、或いは自主防疫期間中に家庭用簡易抗原検査キットによる検査を行いますが、検査結果の報告は不要とされています。
検査で陽性となった場合
家庭用簡易抗原検査キットによる検査結果が陽性となった場合は以下のような制約が発生します。
- 一般ホテルでの滞在は不可。
- 公共交通機関の使用は禁止。
- 病院で診察を受ける必要がある。
- 集中検疫所、または防疫ホテルで隔離。
このことから自主防疫期間中に万一陽性となった場合は以下のような事態となることが考えられます。
観光の継続はほぼ無理
滞在日数にもよりますが、おそらくほとんどのケース(3泊、4泊程度)では観光を続けることはほぼ不可能だと思います。
一定期間の隔離措置
上述(衛生福利部疾病管制署公式HPにおける記載)の発表において、検査で陽性となった場合の具体的な措置については記載されていませんが、9月28日の中央流行疫情指揮中心の会見において、国内と同様の措置となるとの説明がありました。
画像はYouTube Channel「行政院開麥啦-2」より引用
検査で陽性となった場合の措置にはいくつかの選択肢があるのですが、観光客の場合はほとんどが集中検疫所、或いは防疫ホテルでの隔離になると思います。
※ただし防疫ホテルは全て通常営業に戻すとのことなので集中検疫所での隔離となるでしょうか。
上記の場合、隔離解除となるには、無症状、或いは症状が軽減していることに加え、以下1、2いずれかを満たす必要があります。
陽性となった場合は5日間の隔離となります。
※2022年12月15日更新
1.簡易抗原検査キットによる2回の陰性結果、或いは発病/検査結果陽性から5日経過後に簡易抗原検査キットによる検査結果が陰性。
2.発病/検査結果陽性から7日経過。
10月13日までに特に変更がなければ上記の対応が適用されることになると思われます。
帰国日変更の可能性大
上記の隔離措置となった場合、無症状でも長くて7日間は外出不可となります。そのため3泊、4泊といった短期滞在予定であった人のほとんどは帰国日程を変更せざるを得ない状況になると思われます。
スケジュール変更については自己負担
検査で陽性となった場合、スケジュール変更によって様々な負担増が発生することが考えられます。
まず、隔離における費用を負担する必要はないようです。
2023年1月1日(日)より、台湾の健康保険に未加入の非中華民国籍の人は、台湾滞在中に新型コロナウイルスの感染が確認された場合、隔離期間における費用は自己負担となります。
※2022年12月8日更新
画像はYouTube Channel「行政院開麥啦-2」より引用
ただし、例えば帰国日を延期することに伴う航空券の購入費用や、隔離解除後に滞在を延期する場合に発生する宿泊費用などは自己負担となるようです。
画像はYouTube Channel「行政院開麥啦-2」より引用
具体的な行動について
陽性となった場合、具体的には何をすればいいのか? という点についてですが、陽性となった入国者がスムーズに行動できるように台湾側も対応を考えているものと思われるので続報を待ちたいと思います。
画像はYouTube Channel「行政院開麥啦-2」より引用
考察
未だ自主防疫期間が残っているとはいえ一般ホテルでの滞在が認められる、また検査結果が陰性であれば外出可能という点を考えると観光目的での渡航もかなり現実的であると思われますが、前回の記事の考察でも触れたように「検査結果が陽性であった場合」というのが大きなリスクとなります。
この場合、観光を続けることはほぼ絶望的。さらに帰国日を延期しなければならない可能性大。帰りの航空券を取り直さなければならないなど多額の出費増が予想されます。
入国後、初回の検査で陽性にでもなろうものなら即隔離となり得るので観光を全くすることなく隔離だけして帰国。いったい何をしに行ったのか・・・ という可能性もないとも限りません。
10月13日からの水際対策緩和の発表以後「これで再び台湾旅行が可能になった」という雰囲気が盛り上がっているようですが、台湾への旅行を考えている人は上記のリスクをよく考慮したうえで渡航することをおすすめします。