新型コロナに対する台湾の水際対策、10月13日(予定)以降の緩和措置ついて

※9月29日、第2段階の緩和は予定通り10月13日より実施するとの発表がありました。詳細については下記記事を参照してください。


台湾の行政院(日本の内閣にあたる)は9月22日、段階的に水際対策の緩和を行うと発表。緩和は2段階で行われ、第1段階は9月29日より実施、第2段階は早ければ10月13日より実施するとのことです。

第1段階の緩和では短期滞在のビザ免除措置を全面的に再開するとされていますが入国後の隔離措置は継続されるため、まだ観光目的の渡航は現実的とは言えません。

しかし10月13日を予定している第2段階の緩和では観光目的での渡航が現実味を帯びてきているので、緩和についての詳しい内容を把握して考察してみたいと思います。

発表された内容は確定ではなく今後変更される可能性があり、また台湾国内の状況により実施時期が延期されることも考えられます。本記事は現時点での発表内容をもとに推測も含めて記載していますので、その点をご理解のうえ参考にしていただければと思います。

※本記事は2022年9月25日現在の情報をもとに記載しています。

緩和後(10月13日予定)の水際対策について

9月22日に台湾の衛生福利部疾病管制署は水際対策を段階的に緩和すると発表。台湾国内の感染状況を観察しながら早ければ10月13日に以下のように水際対策を緩和するとしています。

画像は衛生福利部疾病管制署 公式HPより引用

1.検疫日数
在宅検疫は撤廃。7日間の自主防疫を実施。

2.家庭用簡易抗原検査キットによる検査
(1)支給する対象・数
 入国時に空港又は港湾の職員より2歳以上の旅客に対して4回分の検査キットが提供される。
(2)検査のタイミング
 ①入国当日、或いは自主防疫第1日目。
 ②自主防疫期間中に外出するとき。外出前2日以内の検査が陰性であることが求められる。
 ③自主防疫期間中に症状がある場合。
(3)検査キットの適用対象年齢を考慮して2歲未満は自主防疫期間中の検査は不要

3.7日間の自主防疫期間に遵守する防疫規範
(1)原則として1人1室(独立したトイレ・浴室付き)の条件を満たす個室を有する自宅、親族・友人宅、或いはホテルで自主防疫を実施する。
(2)重症化リスクの高い者(65歲以上、6歲以下、免疫不全及び免疫力が低下している者など)との接触は避ける。
(3)症状がある場合は安静にし、無症状且つ外出前2日以内の家庭用簡易抗原検査キットによる陰性結果を以て外出、出勤、通学が可能。
(4)食事をする場合、レストラン内では1人、或いは特定の対象者と食事をすることができる。席を離れる場合、及び食事終了後はすぐにマスクを着用する。外出時に飲食する場合は一時的にマスクを着用しなくてもよいが飲食後はすぐにマスクを着用する。
(5)病院への付き添い、面会は禁止。緊急でない診療や検査は延期する。またケア施設(高齢者施設など)への訪問は避ける。
(6)軽症の陽性者は防疫ホテル、或いは自主防疫場所(一般のホテルは不可)で療養が可能。


また同じく9月22日の行政院會後記者會では以下のように発表されています。

画像はYouTube Channel「行政院開麥啦-2」より引用

◆検疫日数:在宅検疫は撤廃、7日間の自主防疫を実施

◆調整措置:
 ・入国時の「入境健康声明・在宅検疫通知書」の発行は取り止め。
 ・防疫タクシー、防疫ホテルの政策を調整する。
 ・サポート担当者からの電話連絡、SNSによる報告、及び追跡システムなどは取り止め。
 ・在宅検疫期間中の健康観察は取り止め。
 ・地方政府による在宅検疫期間中のサポートは取り止め。

◆自主防疫期間の規則:自主防疫のガイドラインに従う

◆家庭用簡易抗原検査キットによる検査
 ・提供對象:空港職員が2歳以上の旅客に対し4回分の家庭用簡易検査キットを提供
 ・検査のタイミング:入国当日、或いは自主防疫第1日目。自主防疫期間に外出する場合(2日以内の陰性結果が求められる)。
 ・検査結果:報告は不要、陽性の場合は自主防疫のガイドラインに従う。

気になるポイント

在宅検疫の撤廃

台湾では入国日を0日目として入国翌日から検疫1日目としてカウントします。

現在、3日間の「在宅検疫」+4日間の「自主防疫」が定められています。「在宅検疫」期間は外出不可であり、いわゆる「隔離」期間に該当します。「自主防疫」期間は外出前2日以内の家庭用簡易抗原検査キットによる陰性結果を以て防疫規範に従って外出することが可能です。

緩和後のルールではこのうちの「在宅検疫」を撤廃して「自主防疫」期間を7日間とする、とされています。実質的に隔離がなくなると考えられるでしょう。

自主防疫のルール変更

自主防疫におけるルールの変更点の中で注目すべきなのは以下の2点。

  • 自主防疫の場所として一般ホテルが可。
  • 「必要な場合以外は外出しない」の条件は削除。

現在は「自主防疫」の場所において一般ホテルは不可となっているので観光目的の渡航は現実的ではありませんが、緩和後は一般ホテルでの自主防疫が可能となります。

また現在は自主防疫期間中の外出において「必要な場合以外は外出しない」とされているので、当然観光目的での外出は不可。しかし緩和後はこの条件が削除されています

陽性の場合は一般ホテルでの滞在は不可

家庭用簡易抗原検査キットによる検査結果が陽性である場合、軽症であれば自主防疫の場所で療養することが可能とされています。

ただしこの場合は一般ホテルでの滞在は認められません。緩和により自主防疫期間に一般ホテルに滞在することが可能となりますが、陽性になると一転ホテルを出なくてはならないことになります。

電話連絡や健康観察は廃止

現在は在宅検疫期間に地方政府の担当者からの電話連絡があったり、健康観察を行ったりしていますが「在宅検疫」が撤廃されることによりこれらは廃止されます。

このことから台湾滞在中に「台湾の電話番号を保有する」という義務はなくなる可能性が高いのではないかと推測します。

ただ、そうであったとしても万一検査結果が陽性となったときのことを考えると連絡手段を確保しておく方が無難なのではないかと思います。

検査結果の報告は不要

入国当日、或いは自主防疫期間中に家庭用簡易抗原検査キットによる検査を行いますが、検査結果の報告は不要とされています。

考察

未だ自主防疫期間が残っているとはいえ一般ホテルでの滞在が認められる、また検査結果が陰性であれば外出可能という点を考えると観光目的での渡航もかなり現実的であると思われます。

ただし「検査結果が陽性であった場合」というのが大きなリスク。その場合、観光ができなくなることに加え以下のような事態となります。

・医師の診察を受ける必要がある。
・公共交通機関が使用できない。
・一般ホテルでの滞在は不可。

身も蓋もないことを言えば、検査結果は報告する必要がないので仮に陽性であったとしても一般ホテルに滞在を続ける、もっと言えばそのまま外出したところで把握される可能性はほぼありません。極端な話、自主防疫期間中全く検査をしなくても同様のことが言えます。

しかしながらそれらは当然ルール違反であり、把握されないからといって守らなくてよいわけではありません。また、不正が発覚した場合は「伝染病防治法第58条、第69条」に基き1万元以上15万元以下の罰金を科されます(罰則については上記の衛生福利部疾病管制署が発表した記載中には記述がありませんが無くなったわけではないと思います)。


ルールを尊守するという前提に立てば10月13日(予定)以降の台湾渡航については正直なところ「博打の要素を含む」という印象です。

例えば海外から日本へ渡航(水際対策撤廃後)する場合と比較してみましょう。

日本では有効なワクチン接種証明書があれば隔離も検査も必要ない(滞在していた国・地域の区分が青、黄の場合(※台湾は青))のでほとんどリスクはありません。仮に陽性(の状態)であったとしても無症状であれば自分が陽性だと気付くこともなく観光してそのまま帰国することになるでしょう。

これが台湾だと、外出するには検査を行う必要があるため結果が陰性であった場合は何事もなく過ごすことができますが、陽性となった場合は無症状であっても観光はほぼ無理という状況です。


今回の発表を見て台湾政府の真意をちょっと測りかねています。

10月13日(予定通りであれば)の第2段階の水際対策緩和が行われれば、多くの観光客が海外から訪れることが予想されます。正直言ってその中にはルールを守らない人も多数出てくるだろうと思いますが、台湾側はそれらを積極的に把握することはしないようです。

1週間当たり入国者数の上限を第1段階で延べ6万人、第2段階で延べ15万人と緩和するため全員の追跡を行うことはかなりの負担になるだろうし、もし厳格にルールを適用させようとすればそもそも観光客自体がリスクを恐れて来なくなる、ということになるでしょう。

短期滞在のビザ免除を再開するということは観光客が訪れることを期待しているということだと思いますが、上記のルールが厳格に適用されると訪台のリスクが大きいということになり、矛盾した対応となってしまいます。

つまり「観光客は来て欲しい」「ルールも守って欲しい」「でも守るかどうかは関知しない」といったところが本音なのでしょうか。ルールを守らない人がいるであろうことも承知の上での対応なのだろうと推測しています。

でもこれだと
・真面目な人にとってはリスクが大きく感じる。
・不真面目な人にとってはほぼリスクなし。

ということになってしまうのでなんとも困ったものです。短期滞在のビザ免除を再開するなら、いっそ自主防疫も撤廃してほしいところですが国内的にまだ難しいのでしょうか。


冒頭でも触れましたが、早ければ10月13日に実施される第2段階の緩和の内容についてはまだ予定という状態なので、今後も引き続き続報に注目したいと思います。

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