台湾のパイナップルを日本に持って帰る方法

フルーツ大国の台湾。日本人にも馴染みのあるバナナ、パイナップル、キウイなどはもちろんマンゴー、ライチ、パパイヤ、グアバ、レンブ、ドラゴンフルーツなど日本ではあまり見かけないようなフルーツまで実にバリエーション豊富。そして日本に比べると値段も非常に安いですねー。

そこで「台湾へ行ったらフルーツをたくさん購入して日本に持ち帰りたい」と考える人もいますよね。しかし残念ながら海外から果物・野菜などの植物の日本への持ち込みについては規制がとても厳しいのです。まず無理だと思っていた方が無難でしょう。

果物の場合、条件を満たせば日本への持ち込みが可、という品目もわずかですがあります。パイナップルものその中の1つで現地で検疫を受け「検査証明書」を発行してもらうことで日本へ持ち帰ることができます。

※記事の内容は2023年11月26日現在の各種情報に基づいて記載しています。

日本への果物の持ち込みについて

野菜や果物など植物を日本に持ち込む場合の規制については下記の植物防疫所のHPに記載されています。

参考:海外から野菜や果物を持ち込む際の規制(植物防疫所)

※画像は植物防疫所 HPより引用

台湾から果物を持ち込む場合についてピックアップしてみると以下のような状況。

マンゴーはもちろんドラゴンフルーツ、ライチ、レンブ、釈迦頭、バナナなど「持って帰れたらいいな~」と思うものはほぼNG、持ち込むことが禁止されています。基本的に海外から果物を日本に持ち帰るのはほぼ不可能だと考えておいた方がよいでしょう

※画像は植物防疫所 HPより引用

ただし一部については「検査証明書及び入国時の検査が必要です」とされている果物もあり、条件付きで持ち込み可能となっています。その条件というのは下記のような内容。出国時に台湾の検疫所で「検査証明書」を受領する、というのが大きなポイントですね。

輸出国政府機関により発行された検査証明書(Phytosanitary certificate)を添付し、空港・港の植物検疫カウンターで検査を受けて合格すれば持ち込むことができます。

植物防疫所のHPより引用

ちなみに無断で海外から果物や野菜などの植物を持ち込んだ場合は罰則があるので注意です。

持ち込めない植物や検査証明書が必要な植物があります。違法な持ち込みは罰則の対象です。

検査証明書を添付せずに輸入した場合や輸入時の検査を受けなかった場合は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が課せられる場合があります。

植物防疫所のHPより引用

実際にパイナップルを持ち帰ってみる

条件付きで持ち込み可となっている果物の内、現実的に「持って帰ろうかな」と思えるのはパイナップルではないでしょうか。

というわけで実際に台湾でパイナップルを購入して日本に持って帰ってみました。ちなみに今回パイナップルを購入したのはこちら。台中の「山珍水果行」という水果店(果物屋さん)です。

こちら、屏東産の金鑽鳳梨を購入しました。

事前に準備すること

台湾で検疫を行うにあたり以下を準備しておきましょう。

  • パスポート
  • 帰国便のチケット
  • 申請書
  • 検疫費用

帰国便のチケットについては、チェックイン前などでまだ発券されていない場合は各航空会社が発行する旅程表でもOKです。

申請書(旅客或郵包寄遞動植物檢疫申請書)は検疫所にもあるので当日その場で記載してもよいのですが、動植物防疫檢疫局桃園分署のHPからダウンロードできるので事前にプリントアウトして記載しておくと作業がスムーズに進むのでおすすめです。
参考:動植物防疫檢疫局桃園分署

申請書の記載方法は下記の通り。上段の枠内について記載します。下段の枠内は検疫所のスタッフが対応するので記載不要です。
※ここではパイナップルを持ち帰る場合を想定しています。

申請書の記載方法

申報日期
当日(検疫実施日)の日付を記載。


申報人

姓名
氏名を記載。

地址
住所を記載。

護照號碼
パスポート番号を記載。


品名
検疫対象の植物の名称を記載。

共計數量
空白でOK。検疫所のスタッフが記載します。

輸送方法
「個人攜帶」或いは「郵寄」のいずれかにチェック。
※手荷物で持ち帰る場合は「個人攜帶」をチェック。

起運地點
出発地を記載。

運住地點
到着地を記載。

乘坐船機班次或名稱
搭乗便名を記載。

動物品種
記載不要。

動物性別
記載不要。

動物特徴及毛色
記載不要。

動物年齢
記載不要。

狂犬病預防注射日期
記載不要。

~記載例~

費用について

検疫にかかる費用ですが1回の申請につき資料作成料金として100元の支払いが必要です。

ただし、検疫を行う日や時間帯によっては追加料金が必要となるので注意しましょう。土日祝日や早朝、夜間、昼休みなどの場合は別途料金が発生します。

また、検疫対象が10kgを越える場合には申告価格(FOB)の0.1%の検疫料金が発生します。まあ10kg以上もの果物を持って帰るという人はあまりいないと思うのでこれについてはそれほど心配する必要はないのではないでしょうか。

追加料金について詳しくは下図の「アウトバンド(輸出)」の欄を参照してください。

※画像(表)は動植物防疫檢疫署高雄分署のHPより引用

特に注意したいのが検疫を行う日が土日祝日の場合、或いは検疫を行う時間帯(平日も含む)が22時から6時の場合。それぞれ1,000元2,000元と追加料金が格段に高くなってしまいます。

例えば検疫が深夜22時以降の場合、1個500円のパイナップルを持ち帰る為に2,000元、日本円にして約9,400円(2023.11.26現在)もの追加料金が発生するということになります。

週末を利用した旅行や帰国便が深夜・早朝の場合などは注意が必要です。

検疫を行う場所

台湾で検査証明書を発行してくれる検疫所は何ヶ所かありますが桃園国際空港と高雄国際空港にある検疫所が便利でしょう。

桃園国際空港は第2ターミナルのみ検疫所があります。また、高雄国際空港の検疫所は出国ロビー・到着ロビーからやや離れた場所にあるのでちょっと面倒かもしれません。

桃園機場檢疫站
住所:桃園市大園區航站南路9號(第2ターミナル1階到着ロビー南側)
電話:(03)3931891

※画像(表)は動植物防疫檢疫署桃園分署のHPより引用

高雄機場檢疫站
住所:高雄市小港區飛機路630號3階
電話:(07)8057790 、 9720200(辦公室)
服務時間:8:30~12:30、13:30~17:30

手続きの流れ

台湾から果物を日本に持ち込むまでの流れは以下の通りです。
※桃園国際空港の検疫所を利用した場合。

【検疫所訪問前】

  • 検疫予約申し込みのメールを送る。

【台湾の検疫所での手続き】

  • 検疫所で申請書提出~検疫実施。
  • 資料作成料金、及び各種費用を支払う。
  • 検査証明書を受領。

【日本到着時の手続き】

  • 空港の動植物検疫で検査を受ける。

検疫予約申し込みメール送信

動植物防疫檢疫局(桃園分署)のHPを見ると、手続きをスムーズに行うために検疫予約申し込みのメールを前日までに送って欲しいとのこと。桃園国際空港で検疫を行う場合は下記メールアドレスに必要事項を記載のうえ検疫予約申し込みメールを送りましょう。

メールアドレス:ty05@tyaphia.gov.tw

メールの件名、文面は下記を参考にしてください。

メールの件名、文面

件名
植物檢疫的預約(20XX年XX月XX日:※検疫所を訪問する日)

メール本文
姓名:(氏名:※漢字で記載しました)
地址:(住所:※漢字で記載しました)
護照號碼:(パスポート番号)
植物品名:(持ち帰る植物名:※「鳳梨」と記載しました)
數量:(持ち帰る植物の数:※「1個」と記載しました)
重量:(持ち帰る植物の重量:※事前に自分で計量した重さを記載しました)
班機資訊:(帰国便の便名)
預計檢疫時段:(検疫所を訪問する時間)

検疫所で検査を行う

桃園国際空港第2ターミナルの到着ロビー。正面(搭乗客が出てくるところ)を向いて右側(下の写真の奥側)に検疫所があります。

こちらが入り口。

パスポートと申請書(旅客或郵包寄遞動植物檢疫申請書)を提出。前述したように事前に申請書の記載を済ませておくと手続きが早く行えます。持参していなくてもその場で貰って記載することもできます。

このときは搭乗便のチェックインがまだだったのでチケットの代わりに旅程表を提示しました。

パイナップルの重量を計測します。

その後、土や虫がついてないかを検査して問題なければ資料作成の手続きに入ります。

パスポートのコピー、各種資料にサインを求められます。

各種費用の支払い

手続きが終わると費用の支払いを行います。このときは平日の午後4時過ぎだったので時間外追加料金は発生せず資料作成料金の100元のみでした。

ところでこの支払い方法がちょっと謎です。現金での支払いは不可、銀行で振込をしなければならないというのです。

「ええ・・・ そんなのどうやって・・・」と思ってたら、スタッフがターミナル内の銀行に連れて行ってくれました。

検疫所を出たすぐ先にある臺灣銀行の窓口で費用の支払いを完了。まさか空港内の銀行で外貨両替以外の手続きをするとは思ってもみませんでしたよ。

検査証明書を受領

全ての手続きを終えると検査証明書(輸出植物檢疫證明書)を渡されます。日本到着時の検疫で提示する必要があるので失くさないようにしましょう。

こちらは費用の支払書(繳款書)。

帰国時に動植物検疫で検査

日本の空港に到着したら税関検査の手前にある動植物検疫でパイナップルの持ち込みの申告をします。パイナップル、パスポート、検査証明書を準備しましょう。

パイナップルの検査を行い、問題なければ検査済(植物等検査合格証印)のシールを貼ってくれます。税関でもし何か尋ねられたら提示しましょう。

というわけで台湾から無事パイナップルを持ち帰ることに成功しました。

(おまけ)肉製品の持ち込みについて

肉製品の持ち込みについても規制がかなり厳しいです。果物、野菜などの植物より厳格なのではないでしょうか。

肉製品の海外から日本への持ち込みについては下記記事にまとめていますので参考にしてください。

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