現在台湾ではアフリカ豚コレラの影響で肉製品の持ち込みが厳しく制限されています。知らずに持ち込みしてしまったために高額の罰金を支払う羽目になった、というニュースを何度か聞きました。台湾に旅行へ行くときはじゅうぶんに気を付けましょう。また同様に日本への肉製品の持ち込みについても厳しい規制があります。台湾にはビーフジャーキーや肉鬆(デンブ)など美味しい肉製品がたくさんあるのでついつい「お土産に」と持ち帰りたくなりますが、そこはじゅうぶん注意が必要。正しい知識を持って不正持ち込みとならないように気を付けましょう。
目次
農林水産省動物検疫所のサイトに詳しく記載
肉製品の日本への持ち込みについては農林水産省動物検疫所のサイトに詳しく記載されています。
参考:肉製品などのおみやげについて(動物検疫所)
基本的に肉製品は全て持ち込み禁止
動物検疫所のWebサイトの冒頭には以下のような記述があります。つまり肉製品については基本的に全て持ち込み禁止という認識を持っておいた方がよいです。
現在、多くの国で家畜の病気が発生しており、また、おみやげや個人消費用のものは検査証明書の取得が難しいため、肉製品や動物由来製品のほとんどは、日本へ持ち込むことができません。 不正な持ち込みは、罰則の対象となりますのでご注意ください。
※動物検疫所のWebサイトより引用
具体的には肉製品の持ち込み可否については以下のように3種類に分類され、それぞれ国別に規定されています。
- 豚及びいのししを除く偶蹄類の動物(牛、羊、山羊)及びその製品(対象疾病:牛疫、口蹄疫)
- 豚及びいのしし並びにその製品(対象疾病:牛疫、口蹄疫、豚コレラ、アフリカ豚コレラ)
- 家きん(鶏、七面鳥、あひる等)及びその製品(対象疾病:高病原性鳥インフルエンザ)
因みに台湾から一般的なお土産の肉製品(ソーセージやビーフジャーキーなど)を持ち込みしようとする場合は下記一覧の青枠の部分に該当します。
※画像は動物検疫所のHPより引用
肉製品の持ち込み可能な条件
台湾からの肉製品の持ち込みについて上記を見ると全て「輸入禁止」に該当します。但し1、2、3全てにおいて下記のような注意書きがあります。
農林水産大臣の指定した施設で農林水産大臣の定める基準に従い加熱処理がなされたもので、輸入国政府機関発行の検査証明書のあるものに限り、輸入できます。
※動物検疫所のHPより引用
ただ、アメリカやオーストラリアの検査済証についての記載はあっても台湾については無いんですよね。また実際に持ち込みできたという話も聞いたことがあるので、このWebサイトの記載を読んだだけではその辺りのことがイマイチよく分かりません。
というわけで実際に台湾で購入した何種類かの肉製品について持ち込みできるかどうか実際に調べてみました。
数種類の肉製品を実際に持ち込み
持ち込んだ肉製品について
調べてみた肉製品は以下の3つ。いずれも誰でも簡単に購入することができる商品です。
(1)豬肉鬆
豚肉のデンブです。
(2)肉醬
豚肉の肉そぼろです。
(3)肉鬆蛋卷
蛋捲というお菓子なんですが肉鬆が使われてます。
調査結果
空港到着時に税関検査場で持ち込んだ3つの商品について申告しました。ほんとは動物検疫所に申告するべきだと思うのですが場所がよく分からなかったので税関検査場で検査を受けた際に検査員に伝えました。
しばらく待つように言われ動物検疫所のスタッフを呼んでくれました。そしてそれぞれの肉製品について検査を受け、以下のような結果になりました。
※後日再度肉製品持ち込みの申告をしたところ、缶入りの肉鬆はNGでした。(「追記」参照)
「(1)豬肉鬆」「(2)肉醬」はOKでしたが「(3)肉鬆蛋卷」はNGでした。
持ち込みOK・NGの理由について
どうも基準がよく分からないのでスタッフに持ち込み可否の基準についてと聞いてみました。スタッフの説明によると「加圧加熱殺菌済、常温保存可能な状態であることが保証されるもの」とのこと。形状で言うと「缶詰やレトルトパウチの状態であれば持ち込み可能」ということでした。
レトルトについては以下のような定義があります。
レトルト食品は保存料、殺菌料を使用せず、レトルト殺菌することにより長期常温保存が可能で、品質の変化がほとんどない安全な食品です。
※みんなのレトルトのWebサイトより引用
さらに
レトルト食品の殺菌には一般的に「レトルト(高圧釜)」により、120℃以上で4分間以上高温高圧殺菌を行っています。
食品衛生法でも、缶詰、びん詰、レトルトパウチ食品その他の、「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」の殺菌方法について、一定の基準を設けており、微生物の繁殖などの問題はありません。
※みんなのレトルトのWebサイトより引用
つまり缶詰やレトルトパウチの状態であれば「高温高圧殺菌済」「常温保存可能」ということが証明できるのでOK。「(3)肉鬆蛋卷」はそれが証明できないのでNGということでした。とうわけで没収されてしまいました。
インスタントラーメンは?
よくインスタントラーメンをお土産に持ち帰っているという話を聞きますが具に肉が使われているものがありますよね。これについてはどうなのでしょう? これもスタッフに聞いてみました。
回答はやはり「(具材が)レトルトパウチの状態であれば問題ない」ということでした。
「具材がレトルトパウチの状態である」というのは下のような状態ですね。これは「花雕雞麵」というカップ麺のものですが調味料とは別に肉の具材についてはレトルトパウチの状態になっています。
「加壓、高溫殺菌處理」「常溫中可長時間保持」という記載があります。
真空パックだけではNG
よく勘違いしがちなのですが「真空パック」だけではNGです。例えば下のような状態では不十分なのです。あくまで「高温高圧殺菌済」「常温保存可能」が保証される缶詰やレトルトパウチの状態でなければダメです。
※卵も検疫対象
追記(2019年4月11日)
検疫に確認したところ卵はじゅうぶんに火が通っていることが確認できれば持ち込み可能とのことです。
※肉・臓器(加工品含む)は真空パックでもNGです。
まとめ
お土産を買うときにあまり意識してない人もいるかもしれませんが不正な持ち込みを行うと罰則の対象となるのでじゅうぶん注意しましょう。
持ち込みする場合は必ず動物検疫所や税関検査場の職員に申告するようにしましょう。「OKのはずだから・・・」と申告せずに持ち込むのはアウトです。
本記事で参照した情報は現時点(2019年2月)での農林水産省動物検疫所のWebサイトに記載されている内容です。記載は更新される可能性があるので常に「農林水産省動物検疫所のWebサイト」の最新の情報を確認するようにしてください。
(追記)肉鬆⇒NG、カップラーメン⇒OK
後日、再び帰国時に税関検査場内の動物検疫カウンターで肉製品持ち込みの申告を行いました。持ち込んだのは具に肉を含むカップラーメン、そして前回と同じく肉鬆(でんぶ)です。
前回の結果を参考にしたので両方ともOKだろうという予想なのですが、さて結果は・・・
まず肉鬆はNGでした。理由は「缶詰やレトルトパウチの状態であれば持ち込み可能」だけどこれは単に缶に入ってるだけだから、というものでした。前回と同じ基準ですよね・・・ それなら前回もNGなのでは??? 前回OKが出たのが間違いだったということでしょうか。ともかく肉鬆はどれもこういった販売形態なので持ち込みは絶望ということでしょうね。残念。
そしてカップラーメンはOKでした。具に肉が使われてるとは言っても肉はちゃんとレトルトパウチの状態で付属しているので問題ないでしょうね。検査員の話では「カップラーメンの形態の商品は今のところ持ち込み可能」ということでした。「今のところ」ということなので今後変わってくる可能性はあるかもしれませんが、とりあえず今のところはOKのようです。
そしてカップラーメンはOKでした。具に肉が使われてるとは言っても肉はちゃんとレトルトパウチの状態で付属しているので問題ないでしょうね。検査員の話では「カップラーメンの形態の商品は今のところ持ち込み可能」ということでした。「今のところ」ということなので今後変わってくる可能性はあるかもしれませんが、とりあえず現時点ではOKのようです。
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