一段票? 兩段票? 台湾のバス運賃「分段收費(段票制)」について

台湾のバスは大きく分けて、都市間を結ぶ中長距離バスの「國道客運」、一般道路を主体に一定地域内を走る「市區公車」の2種類があります。

市區公車」がいわゆる日本で言う路線バスにあたります。「市區公車」の運賃の仕組みでよく見られるのが「里程計費」と「分段收費(段票制)」。

里程計費」は走行距離に応じて運賃が加算されていく仕組み、「分段收費」は走行する区分に応じて運賃が加算されていく仕組みです。

例えば台北の路線バスは「分段收費」を採用しているのですが、これが外国人旅行者にはちょっと分かり難い。というわけでここでは「分段收費」について説明したいと思います。

※アイキャッチ画像及びページトップ画像は臺北市公共運輸處 HPより引用

分段收費(段票制)の仕組み

分段收費」とはバスの走行ルートをいくつかの区分に分けて、バスが区分を跨ぐごとに運賃が加算されるというシステムです。

分段收費」を採用しているバス路線は路線ごとに「一段票收票」「兩段票收票」「三段票收票」というようにその路線がいくつの区分に分けられているかが決まっています。

台北の路線バスにおける分段收費の例

台北の路線バスは「分段收費」を採用しており1区分(一段票)につき15元の運賃が発生します。つまりバスに乗り続けて区分を超えるごとに
一段票:15元
兩段票:30元
三段票:45元
といった具合に運賃が加算されていきます。

と、文章で見ても分かり難いので図で説明していきましょう。

路線図で收費方式を確認

一段票收票の場合

下図は台北の路線番号「108」のバス路線図です。赤枠の部分に「收費方式:一段票收費」と書いてありますね。つまりこの路線は1区分(分かりやすく言うと区分分けされていない)しかないのでどこまで乗っても運賃は一律15元ということになります。

※画像は大都會汽車客運股份有限公司 HPより引用

兩段票收票の場合

下図は台北の路線番号「606」のバス路線図です。赤枠の部分に「收費方式:兩段票收費」と書いてありますね。つまりこの路線は2つの区分に分けられています。1区分内では運賃は15元ですが、区分を跨ぐと運賃は30元になります。

※画像は大都會汽車客運股份有限公司 HPより引用

「兩段票收費」の運賃計算方法

兩段票收費」のバス路線の運賃計算方法を見てみましょう。下図は前述の台北の路線番号「606」のバス路線図(ちょっと見やすい版)です。

この路線は2つの区分に分けられているのですが分かりやすいように黄色と青の枠で囲ってみました。それぞれの区分内(枠内)の移動であれば運賃は15元。区分を超えると運賃は30元となります

ここで注目したいのは黄枠と青枠が重なっている部分。これは「分段緩衝區」と呼ばれるものでこの区域内では運賃の変動が発生しません。つまり重なっているどちらの区分で扱ってもよいということです。「分段緩衝區」については後述で詳しく説明します。

※画像は臺北市公共運輸處 HPより引用

いくつかの乗車パターンを例にあげて運賃を見てみましょう。

乗車区間 運賃
1 萬芳社區~景明街口 15元
2 萬芳社區~捷運古亭站 15元
3 萬芳社區~金山潮州街口 30元
4 景明街口~金山潮州街口 30元
5 武功國小~捷運古亭站 15元
6 武功國小~金山潮州街口 15元
7 金山潮州街口~中山國小 15元

1:「萬芳社區」「景明街口」ともに同一区間なので15元
2:「捷運古亭站」は「分段緩衝區」なので「萬芳社區」と同一区間とみなして15元
3:「萬芳社區」「金山潮州街口」は別区間なので30元
4:「景明街口」「金山潮州街口」は別区間なので30元
5:「武功國小」「捷運古亭站」ともに「分段緩衝區」なので同一区間とみなして15元
6:「武功國小」は「分段緩衝區」なので「金山潮州街口」と同一区間とみなして15元
7:「金山潮州街口」「中山國小」ともに同一区間なので15元

同一区間内であれば当然15元。「分段緩衝區」を含む場合も15元。「分段緩衝區」を除いて上下車地点が異なる場合は30元ということですね。ちなみに「4」のケースが最も効率の悪い乗り方ということになりますね(笑)。こういう場合は「1つ先のバス停から乗れば15元になるので・・・」という考え方もできるわけです。

これが「三段票」「四段票」・・・と増えていっても考え方は同じです。台北市内の移動であればほとんど「一段票收票」「兩段票收票」だと思います(もしかしたら「三段票收票」もあったかも)。新北市まで含めるともっと区分が多い路線がありますね。台北から九份へ行くバスだと「六段票」なんていうのもあります。

「分段緩衝區」について

分段緩衝區」というのは「分段收費」のバス路線において2つの区分が重なる区域のことです。下図の路線図の「」で表されたバス停を「分段點」。そして2つの「分段點」に挟まれた区域が「分段緩衝區」です。

なぜ「分段緩衝區」が存在するのかというと「運賃の不公平を無くす」というのが目的です。

具体的に言うと、仮に「分段緩衝區」がなかったとしますよね。例えば下図で「台電大樓」より左側が区分A、「捷運台電大樓站」より右側が区分Bとします。すると「台電大樓」から乗って「捷運台電大樓站」で降りただけで区分Aから区分Bに移動したことになるので運賃が30元になってしまいます。これではちょっと不公平だよねー、というのを解消するのが「分段緩衝區」です。

※画像は臺北市公共運輸處 HPより引用

(参考)路線バスの乗り方

台湾の路線バスの乗り方について詳しくは下記記事を参照してください。

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