台湾の鹽水蜂炮というお祭りをご存知でしょうか? ロケット花火がガンガン飛び交うお祭り、と言えば「ああ、聞いたことある」という人も多いのではないでしょうか。鹽水蜂炮は台南市の鹽水区で毎年元宵節(旧暦の1月15日)に行われるお祭りで、世界三大民俗祭りの一つにも指定されています。このお祭りを有名たらしめているのは、街中で総計100万発を越えるロケット花火が打ちまくられ、更に参加者がそのロケット花火に当たりに行くという超過激なイベント。毎年ケガ人や時には死者も出るというクレージーなお祭りです。
さて、今年の元宵節は2月11日。鹽水蜂炮は元宵節とその前日、つまり2月10日と2月11日の2日間に渡って行われます。ロケット花火の雨の中に突っ込んで行くというのは考えただけでも恐ろしいですが、勇気のある人は参加してみてはどうでしょう。実は昨年この鹽水蜂炮に参加してきましたので、その時の様子を紹介したいと思います。
目次
鹽水蜂炮
現地へのアクセス方法
鹽水蜂炮の舞台となる鹽水区は台南市の北部、嘉義県と接する位置にあり台南市の中心部からは離れた場所にあります。最寄り駅は台鉄の新営駅で、主なアクセス方法は以下。
【台北から行く場合】
新幹線(高鉄):台北〜嘉義(約1時間30分)
台鉄:嘉義〜新営(普通電車で約20分、特急電車で約15分)
【台南から行く場合】
台鉄:台南〜新営(普通電車で約45分、特急電車で約30分)
新営駅に着いたらタクシーでお祭りの舞台となる武廟周辺へ移動します。新営駅から約20ほどの距離です。当日は同様の利用者が多いので鹽水蜂炮と告げればタクシーもすぐに理解してくれると思います。
タクシーを利用するうえで気付いた注意点が2つ。
1つは具体的にどこで降りるかということですが、現地は人でごった返していて武廟に近づくほど人の数は増えていきます。あまり中心まで入って行くと渋滞のような状態になるので人の少ない適当な場所で降りるとよいと思います。
もう1つは料金。どうもこの日は駅から現地まで固定金額になっているようです。自分の場合は250元でした。まあ妥当なところ(ちょっと高いかな?)ではないかと思うので参考にしてください。
武廟周辺の雰囲気
午後3時前に現地に到着。続々と人が集まっています。
街中を練り歩く神輿。ところどころ神輿が通る道には爆竹がばら撒かれ神輿が通るタイミングで破裂させます。
もう尋常じゃない量です。当然音も物凄いし火事でも起きたかと思うほど煙がもうもうと立ち込めます。
爆竹の残骸。凄まじさが分かりますよね。こんなのがそこら中で行われてます。
他にもお祭りの雰囲気を感じさせる様子がいろいろとあります。
おばさんの行進。なんかちょっとかわいいですね。
ところどころこんな風にロケット花火の砲台が準備されています。これは随分小さなかわいい砲台ですね。
向うに見えるのが鹽水蜂炮のメイン会場的な役割の武廟。
砲台準備中。これでもまだまだ大きい方ではないのです。
鹽水蜂炮の期間中は武廟近くに屋台街があるのでお腹が減っても大丈夫。
装備は? ロケット花火はどこでやってるの?
鹽水蜂炮に参加する場合、一番重要なのは装備! これをおろそかにすると大けがをします。ヘタをすると死にます。まずフルフェイスのヘルメットは必須。そして燃えにくい服。上はある程度衝撃を吸収する厚手のものがいいと思います。中には消防服を着てる人もいました(どうやって手に入れたんだろ?)。下はジーンズなど。2枚くらい履いててもいいと思います。首の部分にロケット花火が飛んでくるのを防ぐためヘルメットにはタオルなどを貼り付けます。できればこれも燃えない素材がいいですね。
※画像は鹽水蜂炮FBより引用
さて、実際にロケット花火はいつ、どこでやっているのかということなのですが、実はよく分からないまま現地に入りました。事前にネットなどで色々と調べたのですが具体的にどうすればよいのかという情報が結局分かりませんでした。台湾に住む友人にも聞いてみたのですが「行ったことないからよく分かんない」と。つれないな・・・ 仕方なく当日に情報収集をします。
とりあえず武廟でパンフレットをゲット。
スケジュールのようなものがあります。A線、B線・・・というのは神輿が練り歩くルートを表していて、A1、A2・・・ B1、B2・・・というのは蜂炮城(ロケット花火の砲台のことです)の場所を表しています。神輿は複数あってそれぞれのルートを通りながら指定の位置でロケット花火を浴びるということです。
スケジュールを見てもらえば分かるように、元宵節当日である2日目の2月22日(2016年の場合)の方が蜂炮城の数が多いですね。2日目の方がロケット花火の数も規模も大きいのです。このときは日程の都合で残念ながら前日に参加しました。
地図上に蜂炮城の場所が示されています。大体祭りの流れは分かったのですが1つ疑問が。ロケット花火を浴びるには、時間に合わせて蜂炮城で待ち伏せするべきか、それとも1つの神輿について行くべきか。よく分からないので現地の人に聞いてみたのですが「待ち伏せしてればいいと思うよ。」「テンプルについて行けばいいよ。」と両案でてきます。(テンプルとは神輿のことのようです)ますますわけが分からなくなりましたが、神輿について行くことにして武廟に留まります。
これが神輿。日中に街中を練り歩いた後、一旦武廟に戻ってきます。その後6時頃から再度街中へ繰り出して行きます。ここからがいよいよロケット花火の出番です。
時間が近づくにつれ武廟の前にはどんどん人が集まってきます。
因みにこんなイベントも。台湾お馴染みのポールダンスです。意外に思う人が多いかもしれませんが、ほんとに「お馴染み」で、こういったお祭りでよくやってるんですよ。地方ではなんとお葬式でも。
ロケット花火を浴びてみました
時間になるといよいよ神輿が武廟を出発。それに合わせて集まっていた人も移動を開始。神輿には完全武装した集団がピッタリくっついているので自分もそこについて行きます。そうして神輿と一緒に移動していれば行く先々でロケット花火の洗礼を受けることができるのです。
ロケット花火は蜂炮城(砲台)だけでなく色んなパターンがありました。いくつか動画を作成したので映像でどうぞ。
まずはロケット花火ではなく爆竹を投げ込んでくるパターン。
前触れもなく、おっさんがいきなり大量の爆竹を足元に投げ込んできます。全然痛くないのですが足元でバリバリと閃光と共に凄い音がするのでちょっとドキドキします。
これは人が手持ちのロケット花火を発射するタイプ。蜂炮城(砲台)に比べればまあ、大したことはないですが正面に飛んでくると流石にちょっと恐怖感があります。
運よく(いや、運悪くかも(笑))エグい蜂炮城(砲台)に遭遇しました。四方にロケット花火がビッシリと敷き詰められた砲台が道路の真ん中に鎮座。みんな周囲に集まってきます。それを掻き分けて一番前へ。
よく見るとみんな後ろを向いて背中で受けてるんですよね。しかし撮影の為、どうしても前を向く必要があるので正面で受けました(泣)。
これはヤバかったです!(前向いてたせいなんですが)さすがにこの至近距離なので、煙がヘルメットの中にどんどん入ってきて息ができなくなりました。「これは死ぬかも」と焦ってその場を離れよう思うのですが、煙と火花で前が全然見えないんですよ。息が続かないのでもう何も見えないまま途中で脱走・・・無念。装備もちょっと燃えてしまいました。
これでもまだ1日目なので控えめな方だと思います。翌日はもっと派手にやってると思うのでせっかくなら2日目に行くのがいいのではないでしょうか。
帰りはどうする?
帰りは最終電車の時間に注意して移動しましょう。タクシーで駅まで戻る必要がありますが当然この周辺は渋滞しますので、それを考慮に入れて早めに離れるのをおすすめします。特に台北方面へ移動する人はタクシーでそのまま新幹線(高鉄)の嘉義駅へ行ってもいいかもしれません。嘉義-台北の最終の新幹線は午後10時半ごろです(1/16現在)。
近くで1泊するというのもよいですね。時間を気にすることなく楽しむことができます。ただ都市部ほどホテルが多くないので事前によく調べておく必要があります。
月津港ライトアップ(月津港燈節搶)もおすすめ
同時期に、鹽水蜂炮が開催される同じ地域で月津港燈節搶というライトアップのイベントを行っているのでこちらもおすすめです。周辺に出店がでて夜市のようになっているので散策するのも楽しいと思いますよ。
※画像は台南旅遊FBより引用