以前紹介した台中に焦点を当てた「手繪台中日和」という本。台中在住のイラストレーターが地元の住人目線で可愛いイラストとともに台中という街を紹介しています。日本の旅行本で取り上げられるような内容とは違って、地元の人しか知らないようなローカルな情報が満載で台中好きとしては非常に嬉しい1冊。今回、幸いにも著者であるFanyuさん本人にお会いする機会が得られたのでインタビューをお願いしてみました。
目次
手繪台中日和について
「手繪台中日和」は台中在住のイラストレーターであるFanyuさんによる台中を紹介した本。台中のお店や料理、台中で働く人々のインタビューなどが可愛いイラストを中心に地元に住む人の目線で描かれています。ガイドブックとは一味違った、台中という街の雰囲気がリアルに伝わってくる1冊です。
Fanyuさんにインタビュー
一時期を台北で過ごした後、再び故郷の台中へ
-Fanyuさんは生まれ、育ちともに台中なのですか?
Fanyu:実は生まれは鹿港(注1)なんです。5才まで鹿港で過ごしその後台中へ引っ越しました。
注1 彰化県の都市。
-あ、そうだったんですか。その後はずっと台中に?
Fanyu:いえ、高校まで・・・なので18歳まで台中にいたんですが卒業後台北の大学へ進学しました。その後台北で就職したので10年ほど台北にいました。
-え? ってことは台中にいた時期はそれほど長くないんですね。
Fanyu:そうなんです。4年前、2014年に台中へ戻ってきました。
-大学ではデザインというか、絵の勉強を?
Fanyu:いえ、ビジネスを専攻してました(笑)。
-あ、そうなんですね(笑)。
Fanyu:はい、イラストはあくまで趣味でした。
-台北ではどんな仕事をしていたんですか?
Fanyu:誠品(注2)や好,丘(注3)で働いていました。
注2 誠品書店をはじめとする誠品グループ(Eslite)。
注3 四四南村にあるカフェ。
手繪台中日和を含めた4冊の手繪シリーズを出版
※画像はFanyu Diaryより引用
-絵を描き始めたのはいつからですか?
Fanyu:それは・・・小さい頃から。たぶんほとんどの人がそうだと思います(笑)。
-確かにそうですね(笑)。本格的にイラストを描き始めたのはいつ頃からなんですか?
Fanyu:学生の頃から日記とか旅行に行った時のイラストを描いていたんですが、友人に勧められてイラストの日記をWebにアップするようになったんです。その後、ある出版社の人がそれを見て、それが本を出すきっかけだったんです。
-手繪のシリーズは手繪台中日和を含めて東京・東京・パリ、京都、香川の4冊の本を出版してるんですよね。
Fanyu:はい。
-香川っていうのが意外だったんですが、なぜ香川に?
Fanyu:ワーキングホリデーで3ヶ月ほど行きました。高松には1ヶ月滞在していました。
-なるほど。でも東京や京都に比べると何もないですよね。
Fanyu:ええ、確かにローカルな場所ですね。でもあの雰囲気はとても好きです。それに瀬戸内国際芸術祭がありますよね。
-ああ、確かに有名ですね。
Fanyu:実際には行ってないんですが(笑)、いつか機会があったら行ってみたいと思っています。
-うどんは食べましたか?
Fanyu:毎日食べてました(笑)。
※画像はFanyu's painting diary FBより引用
-イラストの描写はすごく細かいところまで描いてますが、旅先でイラストを描いているのですか?
Fanyu:それはケースバイケースですね。時間に余裕があるときは旅行先で絵を描くときもありますし、例えば誰かと一緒に旅行に行ってるときなど、帰ってきてから描くときもあります。
-お店など何処に行くのか旅行前にチェックするのですか?
Fanyu:それほど具体的には決めていません。行きたいところをリストアップはしますが、細かくスケジュールを作っているわけではないし、必ず行くということもなく・・・ そのときどきですね。
-4冊のうち一番新しいのが手繪台中日和ですね。
Fanyu:はい。台中って広いので自分だけでは回り切れない部分もあって、個々の地域のお店などに情報提供してもらったりインタビューしたり、そういった内容も含んでます。
-日本では台北や台南は人気があるので本や雑誌でよく取り上げられるのですが、台中はまだまだ少ないのでこの本は新鮮でした。
Fanyu:そうなんですか。
-はい。まだまだ知らない情報がたくさん紹介されてて・・・ そういえば手繪台中日和に載ってた樂群早餐店と靜宜早點に行って来ました。
Fanyu:え、ほんとですか。
(第五市場にある樂群早餐店)
-はい。樂群早餐店って一番苦手な注文スタイルです(笑)。自分で料理を取っていくんですよね。
Fanyu:あー、確かにそうですね。
-台湾の小吃店ってキッチンが店頭に出てますよね。料理してる人は忙しそうだし、誰にどのタイミングで注文すればいいのか未だに悩みます。
Fanyu:そうですね。台湾ではほとんどのお客さんがテイクアウトしていくのでキッチンが店頭にあるんですよね。その方が都合がいいですから。
-あー、なるほど・・・
Fanyu:実際、台湾人でも初めてのお店だとどう注文すればいいのか分からない場合もありますね。他のお客さんを観察するしかないかと・・・
-そうなんですか、ちょっと安心しました(笑)。
台中に戻ってから地元に愛着を持つようになった
-台中はFanyuさんにとってどういう街ですか?
Fanyu:そうですね、高校まで台中に住んでいた頃は特別な思い入れというのは無かったんですが、4年前台中に戻って来てからはこの街に対する思いが強くなったというか、段々と愛着を持つようになりました。
-他の都市と比べて台中のどういうところが好きですか?
Fanyu:例えば台北はすごく都会で便利なんですが、その分みんな忙しそうな、せわしない感じがしますよね。それにいつも雨が降ってる印象です。
-確かに台北って雨が多いですよね! 冬は特に毎日雨が降ってるイメージがあります。
Fanyu:そうなんです。でも住んでる人にとってはもうそれが日常なんですよね。逆に台南は天気はいいですがのんびりし過ぎて・・・ みんな毎日バケーションみたいな雰囲気ですね。
-ははは。それは完全に同意ですね。台南に旅行に行くといつもゆるい雰囲気にやられてしまいます。
Fanyu:それに比べると台中は忙しい雰囲気とのんびりした雰囲気の両面を持ち合わせていてちょうど良い感じです。
台中駅前の中区に行ってみてほしい
(台中市中区にある台中第二市場)
-最後に、日本から観光に来る人におすすめ場所はありますか?
Fanyu:そうですね。中区(ジョンチュー)に行ってみてはどうでしょう。
-ジョンチュー?
Fanyu:はい。中区。
-あ、台中駅前の辺りですね。
Fanyu:そうです。
-台中駅前ってちょっと興味深いですよね。初めて台中を訪れたとき、台中駅を出て目の前の光景に「さすがに駅前だけあって賑やかそうだな」ってよく見るとビルとかボロボロで・・・
Fanyu:そう、台中駅前って昔は最も栄えてた場所だったんですが時代とともに衰退していったんです。
-その代わり駅からずいぶん離れたSOGOとか三越のある辺りが活気がありますね。
Fanyu:はい。以前台中で大規模な火災があって大きな被害が出たんです。それで事態を重く見た市政府が規制を強化して・・・
-飲食店などがビルから立ち退いていったと・・・
Fanyu:そうです。それで台中駅前は今のような状態に。
-そうだったんですか。
Fanyu:でも最近中区は少しずつ変わってきて活気を取り戻しつつあるんです。
-そうですね。新しいお店なんかも増えてますよね。そう言えば本の中で中区に面白いお店がありましたね。
Fanyu:どこですか。
-巧園咖啡と華泰咖啡店っていう・・・
Fanyu:ああ。
-なんだか日本の古い喫茶店のような雰囲気で、それにお弁当がメニューにあるというのがいいですね。
Fanyu:そうですね。お客さんはお年寄りばかりです(笑)。昔はコーヒーにお弁当がサービスで付いてたんです。
-え? コーヒーが付いてるんじゃなくて・・・
Fanyu:はい(笑)。お弁当が無料で付いてました。今はもうお金を払わないといけませんが。
-すごいサービスですね(笑)。おすすめの飲食店などありますか?
Fanyu:沁園春などどうでしょう。
-小籠包で有名な・・・
Fanyu:はい。小籠包は上海料理なんですが、沁園春は台湾で最も古い上海料理のお店なんです。
-へー、それは知りませんでした。まだ行ったことがないのでぜひ行ってみたいと思います。
(台中駅から歩いて7、8分ほどの場所にある沁園春)
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-ありがとうございました。今日はリアルな台中のお話が聞けて楽しかったです。まだまだ知らないことが多いのでこれからも増々台中に来たくなりましたね。
Fanyu:こちらこそ、地元以外の人が台中にどういうイメージを持っているのか聞けて楽しかったです。
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まとめ
台中にスポットを当てた本はあまり見たことがなかったので手繪台中日和に出会ったときはほんとに嬉しかったんですよね。もちろん中国語で書かれているので理解するのは難しいですが、ほのぼのとしたイラストがたくさんあって読んでて楽しいのです。それにローカルな情報が豊富なので情報収集にも役立ちます。
今回実際にFanyuさんに会ってみたのですが、まだまだ知らない台中の話がたくさん聞けて増々面白い街だと思うようになりました。台北や台南とはまた違った魅力のある台中、やっぱり来てみないと分からないですよ。
参考
■Fanyuさんについて
HP:Fanyu Diary
FB:Fanyu's painting diary
■取材場所
目覺咖啡三店 mezamashikohi trio
FB:mezamashikohi
手繪台中日和は日本では販売されていませんが誠品書店や博客來のオンラインストアで購入することができます。