台湾で突然発表された「トイレットペーパーは流そう」というトイレ改革

3月14日、行政院(日本の内閣にあたる)環境保護署は、国民に対してトイレットペーパーを便器に流すことを奨励する政策を発表しました。そんなこと当たり前じゃないか、という声が聞こえてきそうですが台湾では当たり前ではなくむしろ逆なのです。

台湾に行ったことがある人は知っていると思いますが、台湾ではトイレットペーパーをトイレに流すと「詰まる」という理由から、備え付けのゴミ箱に捨てるのが普通なのです(空港や百貨店など一部流してよいところもあります)。

ところが14日に突然このような発表があったのでちょっと困惑しているところです。いったい何がどうなったのか、分かっている限りのことなど書いてみたいと思います。

発表の内容を整理してみる

まず3月14日に行政院環境保護署から発表された内容がどのような事なのか整理してみます。
参考:衛生紙改丟馬桶 即起上路(蘋果日報)

政策の理由

台湾では使用後のトイレットペーパーを流さずゴミ箱に捨てる習慣がある。トイレットペーパーがゴミ箱から溢れているような状況も見られ衛生的に非常に問題がある。

先進国の多くは既に同様の対策が取られており、このことは重要な生活水準の指標である。

理由は至極当然のことだと思います。自分も初めて台湾に行って「トイレットペーパーを流せない」という事実を知ったときはちょっと衝撃を受けました。衛生的に問題があるのは間違いないし、特に台湾は高温多湿なので臭いも気になりますよね。台湾住民のみならず観光客にとってもこれはなんとかして欲しい問題だと思います。

政策の内容

トイレットペーパーは水に溶けるので流してよい。ティッシュペーパーなどは水に溶けにくいので流してはいけない。6月をメドに公共のトイレは水溶性のトイレットペーパーを完備する。

トイレ周辺のティッシュペーパーの販売機は全てトイレットペーパーに交換する。(よくトイレの入口などにティッシュペーパーの販売機があります)

公共トイレには「衛生紙請丟馬桶」(トイレットペーパーはトイレに流してください)という表示をする

公共トイレのゴミ箱はフタ付きの小さいものに交換する。

製紙業者においてはトイレットペーパーの品質(水溶性の)チェックを行う。

トイレットペーパーの包装には「可丟入」(流してよい)又は「不可丟入」(流してはダメ)と表記する。

一般家庭などにおいては直ちに実行して欲しい。但し強制ではない。

といったところが今後のトイレ改革として発表された内容のようです。

これまでも流してよかったってこと?

多分同じことを考えた人はいるのではないかと思いますが、真っ先に頭に浮かんだのが「え、じゃあ今までもトイレに流してよかったの?」ということです。だってトイレの設備をどうこうするという訳でもなく、トイレットペーパーはこれまでも使ってますもんね。

「流すと詰まる」という理由について

そもそもなぜトイレットペーパーを流さずにゴミ箱に捨てるかという理由は「流すと詰まる」という事なのですが、その原因は「配管が細いから」というのが一般的です。実際に現地の友人もそのように言ってました。

台湾ではお店や宿泊施設のトイレには必ずと言っていいほど「トイレットペーパーは流さないように」「トイレットペーパーはゴミ箱に捨てるように」といった張り紙がしてありますよね。詰まって水が流れなくなるとハッキリ書いてあるところもあります。

本当の原因は紙の不統一か

発表の内容を見るとトイレットペーパーは水に溶けるということを強調しています。実験して確認したということも言っているようです。しかしこれまでは水に溶けにくいティッシュペーパーや品質の悪いトイレットペーパーなども混在して使われていた為「トイレットペーパーを流すと詰まる」という先入観ができて、配管が細いからという理由が出来上がったのではないでしょうか。

古い建物はやっぱりムリという声

本当は流してよかった、というトイレがあることは間違いないと思います。少なくとも公共のトイレは水溶性のトイレットペーパーに統一するというだけのようですから、紙を選べばこれまでも流してよかったということですよね。おそらく一般のトイレでも同じような状況はあると思います。

台湾に古民家を使ってホステルを経営している友人がいるのでこの件について聞いてみたのですが、古い建物では配管が細くて、やっぱり流すのは危険だと考えているようです。同じように考えている人は他にもいるということも言っています。

真実はどうなのかと言わると、こればっかりは実物を見ないと分からないので何とも言えないのですが、少なくともそう考えている台湾人は少なくないと思います。

行政院環境保護署も、一般の特に設備が古いものについては状況を確認してから流すかどうかを判断するように促しているようです。

慎重にやらないと混乱するよ

台湾ってこういう政策を唐突に発表することがよくあるみたいなんですよね(笑)。(例えば過去MRTの路線が一部変更になった時とか)

この発表を聞いたとき正直「これ混乱するんじゃないの?」と思ってしまいました。特に観光客は勘違いしたり、戸惑ったりする状況が出てくるのでは、と心配しています。その理由は以下のようなものです。

1.今からトイレットペーパーを流してよいと思われている。

どうもたった今からトイレットペーパーを流してよいということが広まっているようなのですが、これは一般においてのことで公共のトイレは6月がメドとされています。公共のトイレは6月まではバラつきがある可能性があるので注意が必要だと思います。流してよいと明示されているかどうか、ちゃんと確認するようにした方がよいと思います。

2.一般でも統一されるとは限らない。

先にも述べたように設備が古いからと言う理由で流すことを不安視する人はいます。また一般においては強制ではないので、今後もゴミ箱に捨てる方針を続けるところもあると思います。実際に流すと詰まってしまうところもあるかもしれません。

旅行中に使うトイレは公共のトイレだけでなく、ホテルやレストンなど一般のトイレももちろん使いますよね。むしろそちらの方が多いのではないでしょうか。「どこでも流せる」と思いこんでいると、実際にそうではないところでうっかり流してしまいかねないので注意が必要です。

流れれば問題ないのですが、そういったところはもしかするとゴミ箱に捨てるからと流れない紙を使い続けている可能性がなくもありません。

まとめ

トイレットペーパーがトイレに流せるようになるというのは大歓迎です。誰もがそう思っていると思います。しかし移行は慎重にやってもらいたいですね。この問題は思い込みなどによる原因もありそうなので、まず周知することが必要なのではないでしょうか。ちょっと強引な気がします(笑)。

これから台湾に行く人は、入ったトイレがトイレットペーパーが流せるのかどうか確認するように心がけることが大切だと思います。と、すっかりゴミ箱に捨てることに馴れてしまった自分に言い聞かせるつもりで書いています(笑)。

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