自主防疫期間中に陽性となった場合の対処について(その2)

※2023年3月20日を以て水際対策(自主防疫)は撤廃されました。


緩和内容については既によく知られているところですが、あまり情報が無くよく分かっていないのが自主防疫期間中の家庭用簡易抗原検査キットを用いた検査において「陽性となった場合にどうすればよいのか?」ということです。

※本記事は2022年12月15日現在の情報をもとに記載しています。
※2022年12月8日更新
※2022年12月15日更新

注意

陽性となった場合の隔離期間は7日間から5日間に短縮されます。

※2022年12月15日更新

注意

2023年1月1日(日)より、台湾の健康保険に未加入の非中華民国籍の人は、台湾滞在中に新型コロナウイルスの感染が確認された場合、隔離期間における費用は自己負担となります。

※2022年12月8日更新

交通部観光局HPにおける説明

自主防疫期間中に検査で陽性になった場合の対処について「中華民國交通部觀光局」のWEBサイトに比較的詳しい説明があったので、それをもとに解説したいと思います。
参考:越境(海外)旅行に関する注意事項(交通部観光局)

また、未だよく分かっていない部分もありますのでその点については考察も踏まえ記載していることをご了承ください。

陽性だった場合の対応(個人旅行の場合)

自主防疫期間中に家庭用簡易抗原検査キットを用いた検査で陽性となった場合の対応と流れの概要は以下のようになっています。

(1)速やかに医療機関に連絡して受診の手配を行う。
(2)オンライン、或いは対面にて医師の診断を受ける。
(3)診断の結果により防疫旅館、または集中検疫所で隔離(5日間)となる。
(4)隔離終了後、7日間の自主防疫を実施。

医療機関に連絡~受診の手配

中華民國交通部觀光局」のWEBサイトには以下のように記載されています。

検査結果が陽性だった場合、付近にあるオンライン診療可能な医療機関を確認してください。(1922に電話し、内線番号7番を押すと英語サービスになり、スタッフに代わりに調べてもらえます)。そして医療機関を電話予約し、オンライン診療で医師に抗原検査キットの検査結果について診断してもらってください。

中華民國交通部觀光局 HPより引用

また、受診可能な医療機関の一覧が記載されたサイトのリンクが貼られています(台湾CDC(衛生福利部疾病管制署)のWEBサイトにも同じリンクあり)。
参考:新型コロナ感染症の抗原検査キットの検査で陽性が出た場合の診断を行なっている医療機関(中国語サイトのみで提供)


1922」という「伝染病予防ホットライン(英語サービスは内線7番)」があるようですが、記載を見る限り医療機関を調べてくれるだけなのではないでしょうか。そうであれば医療機関はリンク先のリストを見れば分かるのであまり必要性はないように感じます。

ただし、例えばネットに接続できなくて医療機関が調べられない、といった場合には「1922」に電話して調べてもらうのは助かるかもしれませんね。


外国人が受診可能な医療機関のリストは都市別に分類されているので、自分が滞在している都市の中から探すことになります。

例えば台北であれば「臺北市 Taipei City」をクリックすると台北市内の医療機関がリストアップされたページに遷移します。これらの中から最寄りの医療機関を選んで電話をすることになるのでしょう。

ただ、いきなり医療機関に直接連絡するより、まず一覧表の一番上(欄外)に記載された(台北市の場合は)「臺北市防疫專線 02-23753782」(地方政府の「衛生局(保健所)」に該当するのだと思います)に連絡するのがよいのではないかと思います。

ここへ連絡した場合、その後の段取りをつけてくれるのか、或いはただ単に「リスト中の医療機関に連絡しなさい」と言われるのか、実際にどういう対応をしてくれるのかははっきり言ってよく分かりません

が、いきなり医療機関に連絡するより無難なのではないでしょうか。


また、ホテルのフロントに助けを求めるという方法もあるかと思いますが、以下の理由から個人的にはあまりおすすめできないのではないかと思っています。

  • 結局ホテルができることは衛生局の連絡先を紹介する(或いは連絡を取ってくれる)ことぐらいでは。であれば自分で連絡した方が早い。
  • ホテルが誤った対応を取らないとも限らない。

医師の診断を受ける

受診の手配を行ったら、オンライン受診、或いは直接医療機関に出向いて医師の診断を受けます。

中華民國交通部觀光局」のWEBサイトには、オンライン受信または医療機関に赴いて診察してもらう場合の注意点として以下のように記載されています。

(1)陽性と判定された抗原検査キットに被検者の氏名および検査日を記入してください。
(2)オンライン診療で診断を受ける場合は抗原検査キットを撮影してください。
(3)医療機関で対面で医師に診断してもらう場合は、ジッパーまたはビニール袋に抗原検査キットを入れ、密封した状態で医療機関まで携帯するようにしてください。
(4)医師がオンラインまたは対面で診断する際には、陽性と判定された抗原検査キットを提示するようにしてください。
(5)外出する際には必ずマスクを着用してください。公共交通機関の利用は禁じられています。自家用車、バイク、自転車、歩行、または家族や友人の送迎(双方とも全行程マスクを着用すること)を利用してください。

中華民國交通部觀光局 HPより引用

最も注意したいのは(5)の公共交通機関の利用が不可という点でしょうか。ほとんどの人は現地に知り合いなどいないでしょうから自力で医療機関にたどり着くしかありません。

旅行者が利用できる手段としては基本的に徒歩、またはYouBike、レンタルバイク、バイクのシェアサービスといったところでしょうか。

防疫旅館または集中検疫所で隔離

診断の結果により指定の場所で隔離療養となります。隔離の場所は自主防疫を行う場所とほぼ同じですが、一般ホテルでの滞在は不可です。

現地に泊めてもらうことができる知り合いのいる旅行者などまずいないと思いますので、ほとんどの人は宿泊しているホテルを退去して防疫旅館、または集中検疫所で隔離されることになります。

医師の診断後、後続の報告の流れに従ってください。医療スタッフまたは衛生機関の指示に従い、自主防疫地点(一般旅館は含みません)、強化型防疫旅館、または集中検疫所で7日間の在宅ケア+7日間の自主健康管理を行なってください。

中華民國交通部觀光局 HPより引用

隔離終了後7日間の自主防疫

隔離が終了したあとは再び7日間の自主防疫となるようです。そのまま台湾に滞在を続ける人、また帰国する人も現地出発日まで間がある場合は、7日以内は自主防疫のルールに従って過ごすことになるのだと思います。

ルールを原則通り適用するなら、この間再び陽性になった場合はまた隔離ということになると解釈できます。そんなことがあり得るのかと思いますが可能性はゼロではないでしょう。

また、隔離解除後の自主防疫期間について以下の点についてはよく分かりません。

やはり外出するには検査で陰性であることが条件なのだと思いますが、検査キットを全て使い果たしていた場合どうやって調達するのか? 自費で購入するにしても外出できなければ購入できないですよね。隔離施設を退去する際に購入できるのでしょうか? よく分かりません。

陽性だった場合の対応(団体旅行の場合)

団体旅行の場合も検査で陽性となった人の対応については基本的に個人旅行者と同様ですが、その際の対処や費用の負担などについてはツアー会社によって異なると思いますので、ツアーに参加する場合はその点をよく確認しておくことをおすすめします。

陽性となった場合に備えておくこと

中国語または英語でのコミュニケーションが必須

自主防疫期間中に家庭用簡易抗原検査キットを用いた検査で陽性となった場合はまず医療機関、或いは地方の衛生局に電話連絡して受診の手配を行います。このとき日本語はまず通用しないと考えておいた方がよいでしょう

また、海外旅行保険に必要な書類の要請、(必要であれば)PCR検査の手配など当然中国語か英語で行う必要があるでしょう。

中国語または英語でコミュニケーションをとることが困難であれば現在のルールが適用される期間の台湾旅行は厳しいと言わざるを得ません。

海外旅行保険に加入

検査で陽性となり5日間隔離されることになると滞在スケジュールを変更せざるを得なくなる可能性が高いので、海外旅行保険に加入しておくことをおすすめします。

万一、発熱など症状が現れた場合は治療費が発生することになるし、無症状であっても隔離により帰国便のチケットを取り直す必要があるでしょう。

ただ、新型コロナウイルスも終息の時期にあるせいか、対応する海外旅行保険もその内容が変動しているようです。条件によっては適用されないケースもあるので各海外旅行保険の内容をよく吟味するようにしましょう。

例えばPCR検査の陽性を適用の条件にしている海外旅行保険もあります。その場合、台湾の自主防疫における家庭用簡易抗原検査キットでは適用対象外となってしまいます。医療機関での診断において必ずPCR検査を行うかどうかは不明です。行わない場合は保険適用の為、PCR検査を要求するなど交渉が必要でしょう。無論、応じてくれるかどうかは分かりません。

また、取り直した航空券代金には保険が適用されても、隔離終了から帰国日までの滞在費には適用されないケースもあるようです。

連絡手段を確保しておくのが望ましい

まず、地方の衛生局や医療機関に電話連絡する必要があるので「電話」が利用できることが前提となります。持っていない場合はホテルの部屋の電話を利用するしかありませんが、折り返しの可能性などを考えるとやはり自身のスマホが使える方が便利なのではないでしょうか。

水際対策の緩和によって台湾の電話番号保持の義務が撤廃されましたが、念の為持っておいた方が望ましいのではないかと思います。

またオンライン受診を行う場合は「データ通信」が利用できる必要があります。レンタルWiFi、プリペイドSIMなどを準備しておく必要があるでしょう。ホテルのWiFiがあればそれを利用することもできると思いますが、ホテルによっては通信速度が思わしくない場合もあるので注意が必要です。

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